日銀の実質金利操作「買いオペ」がぶっ刺さる!
かつて中央銀行は長期金利の操作は出来ない、
と言われていたが、
イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)
を2016年9月に導入し短期金利のマイナス金利化、
金利ゼロ%に向けた長期国債の買い入れを通して
実質的には金利操作が可能になった。
そんな日銀が無制限に国債を買い入れる、
というのが「買いオペ」だ。
※サーバタイム(GMT+3)との時差6時間
なので7月7日10時10分を指している。
「買いオペ」は長期国債(10年債)を
指定固定利率で無制限に日銀が買い入れ
市中にお金をばら撒く金融緩和政策だ。
つまり、円安要因。
今回はドル円1分間で
20pips超えの急騰を引き起こした。
さて、
この機会に国債と買いオペについて
調べてみた。
国債とは……
国債は政府が発行する。
中央銀行が発行するものでは
ないことに注意せねばならない。
長期金利は日本の場合、
10年債が長期債利回りの基準になる。
国債は発行時に
償還期限と利回りが決められる。
例えば100円(利回り2%)の国債は
10年で満期を迎え、
半年ごとに1円の利子が支払われる。
10年後満期を迎えた国債は
額面金額100円で償還される。
新規発行時に買っていれば
10年間で額面金額に利子を足した
120円を得ることになり、
これが利回り2%の意味だ。
ところが、発行時に100円(利回り2%)と
決められた国債は市場で取引をされる中で
価格が変動する。
例えば、110円になったとしよう。
それでも償還されるのは額面満額の100円なので
インカムゲインは10円(年換算1円)に減少し、
これは利率の低下と解釈される。
この場合の利率の計算式は
1÷110(円)×100(%)=0.909%
元の2%と比べて1.091%低下したことになる。
価格が上がれば、利回りが下がる関係性が
これで理解されただろう。
ゼロ金利政策を行っている日銀は
国債を買って国債の価格を上げることで
利回りを下げようとしている。
国債を取引しているのは
銀行や保険会社などの金融機関が大半。
国債を日銀が買い上げることで
銀行などには資金が増えることになり
低金利で個人に融資することが可能になる。
また10年間持っていても
1円も利益が出ない国債なんか
誰も買わないだろう。
それどころか、
もともと安い価格(=利回りは高い)
で持っていた国債を売る動きが出る。
これは銀行などからによるフローで
先に述べた日銀からのフローとは異なるが
しかしこれも同じく市中に通貨を増やす動きだ。
ゼロ金利に近づくまで
大きな国債売りは行われないだろうが
中長期的に二段階で円安誘導をする
強力な政策なのだ。
さらに今回は国債の
定期買い入れ額増額の発表も
同時に行われた。
4500億から5000億へ
500億円の増額だった。
出典:当面の長期国債等の買入れの運営について [PDF 120KB](日本銀行)
日本銀行の国債買い入れ予定日は
公開されているが具体的な時間は
公表されていないようだ。
その日どこかの時間で
という大口の買いが観測される。
日銀はこの他にも、ETF買いも
年
で行っている。
これは一日当たり260億円規模になるが
最近は、3日に一度くらいのペースで
一口728億円の買いが入っているようだ。
これにより株価は下支えされ、
直接的な買いが行われない日経225も
連れ高で2万円をキープしていることに
市場は慣れ始めている。
このようにあの手この手で
円安誘導をする日銀だが
ETFを手放す時期はいつになるのか、
その際は大規模な暴落が起こらないよう
織り込まれるだろうが、それでも
市場にある程度の影響は免れないだろう。
目下は円安ドル高でドル円は上昇トレンドだが
今晩の雇用統計の結果次第では
利上げ観測とバランスシート縮小が後退して
ドル売りも同時に来るかもしれない。